最近、各ブランドの商品を“勝手に”アップデートし、カスタマイズした“ブートレグ(海賊版)”を街中でもSNSでも目にします。基本的には金儲けを目当てにしたものではなく、クリエイターやブランドをリスペクトしつつ、「こんなものがあればいいのにな……。よし、ないなら作ってしまおう!」の精神で生まれるこれらの中で、特に多いのがスニーカーです。最近では、カスタマーと呼ばれ個人で楽しむ人々に加え、製作・販売することをビジネスとした専用サイトもちらほら見かけてしまうほど……(笑)。ここでは、人気のある“イージー ”シリーズと“エア フォース 1”、そして世界を代表するグラフティアーティストのカウズ(KAWS)まで、気になった“ブートレグ”をご紹介いたします。
とにかく見かける“ブートレグ”と言えば、カニエ・ウエスト(Kanye West)の“イージー”シリーズです。多くの“ブートレグ”スニーカーを手掛け、インスタグラムでも10万を超えるフォロワーを持つ人気サイト「FREカスタムズ(FRE Customs)」では、「グッチ(GUCCI)」をイメージさせる花柄刺しゅうモデルや和柄の鯉が泳ぐモデルなどを製作。そもそも簡単に手にすることができないファン垂涎のスニーカーでありながら、手の込んだ“ブートレグ”ということもあり、どちらも599ドル(約6万7000円)と850ドル(9万6000円)という正規価格の数倍という手が出しづらいお値段に……。にも関わらず、(そもそもの販売数が少ないですが)どちらもソールドアウトしています。
同じく人気サイト「マッヘ カスタム キックス(Mache Custom Kicks)」では、オールホワイトの“イージー”を真っ青に染め上げ、サイドに“IKEA”の文字をあしらった「イケア」との架空コラボ“イージー ”を製作。世間を賑わせた「イケア」のショッパー“フラクタ(FRAKTA)”を用いた洋服やシューズを作る流行に便乗したもので、インスタグラムには実際に履いて店舗に行く動画も載せています。
ちなみに芸術家・村上隆は、“ブートレグ”と少し異なりますが、“イージー ”のつま先部分とかかと部分を引き裂き、同氏を象徴する“フラワー”をあしらった作品を生み出しました。が、通常の“ブートレグ”とは毛色が違うためか、インスタグラムは賛否両論のコメントで溢れています。
1983年の誕生から今年で35周年を迎える「ナイキ(NIKE)」の名作“エア フォース 1”もそのシンプルで普遍的なデザインから数々の“ブートレグ”の対象に。今年、ファッション業界を最も騒がせたと言っても過言ではない「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」と「シュプリーム(SUPREME)」との、架空のトリプルコラボ“エア フォース 1”をはじめ、超高額で取り引きされている「ヴィーロン(VLONE)」とのコラボ“エア フォース 1”を模したもの、ハンドペイントで銀の滴が垂れたようなカモフラ柄モデルなど盛りだくさん。中にはテレビアニメ「ザ・シンプソンズ(The Simpsons)」のホーマー・シンプソンがペイントされたポップで可愛らしいモデルも!
また、“ブートレグ”ではない正式なコラボレーションではありますが、「ナイキ」がアメリカ・シカゴのレストラン「ハニーズ(Honey’s)」の従業員のためだけに製作した異色のモデルも存在します。ブラックをメーンカラーに、レストランをイメージさせるホワイトをスウッシュやヒールに用いたモノクロカラーのこの一品。かかとにはしっかりと“Honey’s”の店名も確認でき、手に入れるには店員になるしかないというスペシャルな一足です。