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美容業界の次なるターゲットは2013年以降生まれ ジェネレーションZの次は「アルファ」世代

2019年4月30日

ミレニアル世代(1981〜96年生まれ)に次ぎ、多くのブランドや企業はジェネレーションZ(1997年〜2000年代生まれ)客の獲得に注力しているが、北米のビューティ業界ではすでにその次の世代に注目が集まる。新たな始まりを意味する「アルファ」にちなみ「アルファ世代」と呼ぶ彼らはジェネレーションZがミレニアル同様に16年間続いたと仮定すると、2013年生まれ以降ということになる。つまり19年現在、最年長が6歳ということだ。

ビューティ誌「ビューティ インク(BEAUTY INC)」の2月号は、キム・カーダシアン(Kim Kardashian)とカニエ・ウェスト(Kanye West)の娘、ノース・ウェスト(North West)が表紙を飾っている。5歳の彼女はデジタルを理解する年齢ではないかもしれないが、すでに彼女のSNSにおけるプレゼンスと影響力は大きい。彼女が属するアルファ世代とジェネレーションZを足した層は、今後ポップカルチャーや経済に大きな影響を与えるとされる。実際米国国勢調査局によると、25年までに17歳以下の人口は北米の43%を占めると見ている。これらの次世代の顧客獲得に向けて、多くの企業やブランドは動き出している。

ではこの2世代はミレニアル世代とどう違うのか。まずジェネレーションZとアルファは生まれた時からどっぷりオンライン生活に浸っていること。また、ミレニアルズとはSNSの使い方が全く違うという。ミレニアルズは写真や近況を家族や友人とシェアするという本来の使い方をしている一方で、ジェネレーションZは自分のアイデンティティーを構築するツールとして使っているのだ。SNSは人生の一部となり、誕生日や卒業式、結婚式など大きなイベントや出来事を共有するだけでなく、もはや自分そのものを形成するのだ。また、SNSを他人とつながるツールではなく、エンターテインメントとして楽しんでいる。ピュー リサーチ センター(PEW RESEARCH CENTER)によると、ティーン世代の85%がユーチューブ、72%がインスタグラム、69%がスナップチャットを利用している。さらに最近はティックトックも人気で、マーケティング企業センサータワーによると2018年12月だけで新規ユーザーが7500万人に上り、前年比では175%増だという。

これらの世代はビューティにも大きな関心を持っている。ユーチューブではビューティ動画が1500万本以上、インスタグラムではとタグづけされた写真が2億9000万以上投稿されている。ティックトックのビューティ投稿も増えており、19年1月にはジャガイモにメイクをするチャレンジが大流行した。ジョン・デムジー(John Demsey)=エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES) エグゼクティブ グループ プレジデントは「ジェネレーションZはコンテンツ、SNS、ユーチューブ中毒だ。加えてビューティも大好きで、過去の世代の中では最もエンゲージメントが高い」と語る。メディア企業ヴィアコム(VIACOM)の調査によると、ジェネレーションZの女性はミレニアル世代に比べて36%も多く美容を楽しんでおり、71%は美容が楽しいと感じているという。チュートリアル動画もそれを後押しし、36%は動画なしではメイクが楽しくないと答えたという。

また、北米においてはジェネレーションZとアルファは過去の世代の中で最も多様性に富んでいる。ピュー リサーチ センターによると6〜21歳の52%が白人で、それ以外はアジア人やラテン人、黒人などだという。人種だけでなくジェンダーやセクシャリティーも多様だ。ジェネレーションZはさらに黒人系のバラク・オバマ(Barack Obama)前大統領や女性のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)らが大統領選挙に出馬し、政界で活躍している姿を見ている世代でもある。多様性に敏感なジェネレーションZとアルファ世代は、白人至上主義の業界を批判し、さらにコンテンツにおいてもよりリアルなものを求めている。だからこそ一流セレブリティーより身近なインフルエンサーが出ている広告に共感しやすい。実際、ジェネレーションZに行った調査で「ロールモデルに求めるクオリティーは何か?」という質問に56%が「リアルであって、共感できること」と答えたという。

また、SNSを通じてブランドや企業とすぐに繋がることができ、情報を今まで以上に入手できてしまう彼らは、より製品の中身にこだわる。ナチュラルやオーガニックなどの “体に良い成分”だけでなく、素材の調達のサステイナビリティーやトランスペアレンシー(透明性)も求める。 デムジー=プレジデントは「この世代はただマーケティングするだけでは通じなくなっている。さまざまなタッチポイントを欲しがり、それらを利用して徹底的に製品やブランドについてリサーチをする。そのため、製品力だけでなくブランドの姿勢が良くないとすぐに批判する。そしてその批判がすぐに広まり、市場を動かすことになる」。

今までの世代以上にビューティに関心を持つこれらの世代には、さらにSNSを絡めたデジタル戦略が重要性を増すだろう。また、自らすぐに情報を入手する彼らの心をキャッチするには、製品力だけでなくブランドや企業の姿勢をも見直す必要がありそうだ。

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